会計を使って経済ニュースの謎を解く
会計を使って経済ニュースの謎を解く~決算書の読み方が変わる7つのエピソード 望月 実 日本実業出版社 2007-03-15 posted at 2007/04/26 |
★━━━こう思ったら読め!━━━━━━━━━━━━━━━━★
『ニュースと会計は深い関係にあるらしい』
裏の裏を理解するために
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☆気になったキーワード
『壁』 『投資とリターン』
『タイミング』 『経営者の意見』
★━━━━本の著者に聞きたいこと━━━━━━━━━━━━━★
『会計を肌感覚に近づけるには?』
数字の書かれた表を見てアレルギーを起こさないために
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☆本から得た気づき
━━━━━━あらすじ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼『時価155億円はなぜ800万円?-甲子園球場』
▼『利益は経営者の意見である-ゴーンマジック』
▼『赤字でも株価が高いのはなぜか?-楽天』
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▼『時価155億円はなぜ800万円?-甲子園球場』
去年、村上ファンドが「阪神タイガースを買収?」という
ことで話題にもなった、阪急阪神ホールディングス。
そしてそれ以前の阪神グループの会計決算書を
見ていると・・・
貸借対照表において、甲子園球場の原価は800万円として
掲載されているんだそうです。
実際に推定される時価は155億円だというのに・・・
この差はなぜ起こるんだろうか?ということを
望月さんが丁寧に読み解いてくれます。
さて、本著を通じた思想として「投資とリターン」という
考え方があります。
ビジネスとはなんらかの「ビジネスモデル」を通して
投入したお金=投資が、一旦姿を変えた後に
最終的にまたお金として戻ってくる=リターンを得る
というものです。
この視点から貸借対照表を考えてみると・・・
あなたが表を見たことがあればおわかりになるかもしれませんが
貸借対照表は左と右に分かれています。
それぞれのおおざっぱな意味は
○左側:お金をどのように投資した?
○右側:お金をどのように集めた?
という分類になっています。
そしてこの左側=投資した結果は
また大きく2つに分けることができて
「時価資産(金融資産)」と「事業用資産」になります。
どういうことか?というと最終的に
投資したモノがリターンとして戻ってくることを考えると
「お金」にすぐに変えられるかどうかというところが
大きなポイントになるわけです。
現金はもちろんのこと、上場企業の株式や債券など
換金性が高いモノは、すぐにお金になりますから
基本的に時価で評価します。
しかしながら、工場などの建物・土地、設備などは
あくまで「使うこと」でお金を生み出すモノであって
それ自身の換金性はそれほど高くありませんから
時価ではなく簿価で評価することを基本としています。
つまり、換金性が確実ではないことが大きな違いな
わけなんです・・・
はい。なので冒頭で疑問符が出た「甲子園球場」については
それ自身がお金になるモノではなく「お金を生む」からこそ
800万円として貸借対照表に掲載されているんですね・・・
- – – – – – – – – – – – – – – – – –
▼『利益は経営者の意見である-ゴーンマジック』
経済界での話題でもあった日産の「ゴーン・マジック」
あれだけ苦しんでいた日産をわずかな期間で利益を
前年度比1兆円UP!というマジックを見せてくれたわけですが
さて、会計の視点から考えるとどうなんでしょう?
ありえないような話なのか、タネがあるマジックなのか?
ここで利益というモノは何で計算されるか?というと
決算書の「損益計算書」に現れてくる数字だということを
まず押さえてください。
そして利益とは、利益=収益-費用
という式によって計算されるモノだということです。
つまり利益を高めるためには、収益を大きくして
費用を小さくすることですね。
当たり前ですか?(笑)
そう、収益の方については当たり前なのですが
実は費用の方は・・・・会計の話になると
当たり前ではなくなってきます・・・・。
会計というモノは、「ある期間で区切る」ことを
前提にしてますが、このことが費用に関しては
大きな意味を持ってくるのです。
本著にある言葉に、「利益は経営者の意見である」
というものがあります。
これは・・・・費用は経営者の意見によって
変わってくるからなのです。
ん?なぜに・・・・?????
はい、ここでもう一度「投資とリターン」を
思い出しましょう。
費用とはリターンを得るために、使ったお金のことです。
そこには、さきほども出てきた「事業用資産」も
含まれてきますが・・・
もし、リストラなどによって、もっている事業用資産を
つかってお金を生まないことを決定したら・・・。
その資産はもはや無駄なモノですから「費用」として
処分してしまうことになるのです。
いわゆる「一括償却」ですね。
#ここは説明すると長いので省略させてください。。。
するとリストラを行った年は費用が一気に上乗せされて
大赤字になりますが、翌年はその赤字分がなくなるので
一気に利益が生まれるという「マジック」なのです。
このリストラなどの事業構造転換は
経営者の意志なので、「利益は経営者の意見である」
といわれるゆえんなのですね。
マジック・・は悪いことでは決してありません。
経営者の意思表明により、事業構造を変えた結果
その後の会社経営が軌道に乗るならば、全く持って
正しい選択なのですからね。
でも。。。この費用の配分をたんなる粉飾に
使ってしまう企業があるのも事実。
このあたりは難しいところです。・・・・・。
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▼『赤字でも株価が高いのはなぜか?-楽天』
さて【エンビジ】でとりあげる3つめのエピソードは
TBSとの統合でもまた話題が盛り上がってきた楽天。
楽天って実は。。2001年から2004年度まで
最終損益が赤字だったということをご存じですか?
それも結構な金額の赤字です。
でも・・・その間株価は常に上がり続けて来ました。
ん?なぜ?って思いませんか?
はい。そこで会計の視点の出番です。
最終損益(税引き後最終利益)ではなくて、
経常利益をチェックしてみましょう。
すると・・・2001年度が14億円の黒字だったのに対して
2005年度は358億円の黒字と、なんと26倍も成長
しています。
市場はこれを評価して、高い株価をつけていたのではないかと
思います。
では。。。経常黒字と最終損益の間には
どんな違いがあるか?というと・・・・・。
はい「特別損失」というものがあるんですね。
#税金のことはひとまずおいておきます。
この「特別」と「経常」という言葉からわかるとおり
常日頃の企業活動から発生した損益と
突発的な出来事(繰り返さないこと)からの損益を
わけましょうという日本の会計制度からの区別です。
楽天は2001年度から2004年度まで
この「特別損失」が膨大で、これによって毎年赤字を
計上し続けました。
ん?毎年財テクでも失敗してんの?
ちゃいます(笑)
これは買収(M&A)を繰り返した際に発生した「のれん代」
を一括で償却したためです。
のれん代の説明をするとこれも長いので
本著に譲りますが、さきほどのゴーン・マジックと
同じく、費用の発生のさせ方について
経営者の意志によって「一括償却」してきたのが2004年度
まででした。
ところが。。。日産と違うのは
こののれん代の一括償却が会計ルールによって禁止されました。
ですので2005年度は一転して、最終損益で
194億円という黒字をだすことになったのです。
前年度が143億円の赤字ですから、これまた大きな差
ですよね?
ルールはすべてを厳密に決めているわけではないので
同じようなことをしていても、細かな差が
大きな見た目の結果を生み出すということを
念頭に置いておかないといけませんね・・・。
★━━━この本を読んで自分が決意したこと━━━━━━━━━★
『数字を使ってつくられたアートを理解する』
抵抗感がどんどん減っていく。
★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
著者の望月さんは本著のあとがきの冒頭に
会計は数字を使ったアートである
と書き記されています。
なぜか?
それは望月さん自身が決算書を見ると
この会社はどういうビジネスを行っているのか、どういう人たちが
働いているのだろうかという視点から数字を眺めるから
なんだそうです。
「ビジネスモデル」という言葉がある程度一般化した
ように、ビジネス活動の結果作り上げられた成果は
まさに芸術作品のアートとして取り扱っても
いいかもしれません。
すると、アートであれば作り手の意志、信念
などが強く反映されますよね?
ビジネスの場合には、評論する際に
数字を用いて評論を行う、だからこそその手段として会計が存在する。
そんな風に考えてみると結構おもしろくなってきません?
会計を使って経済ニュースの謎を解く
~決算書の読み方が変わる7つのエピソード
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